昭和の香り漂う異形の力や不思議な出来事の短編集。

統一感のある内容であったが読んでいて引き込まれる物語と、全く興味の持てない物語に分かれるのは自分の感性だろうか？

・「イサオ・オリバンを捜して」
　ＬＵＲＰと呼ばれた斥候部隊に所属し、戦地で信じられない活躍してきた伝説の男の奇跡を娘が辿る。

・「ピクニックの準備」
　「夜のピクニック」の予告編。

・「図書室の海」
　ある高校に伝わる「サヨコ」と呼ばれる噂話と奇妙な秘密。

恩田氏の作品は、不思議なノスタルジーな世界でこそオモシロさが発揮できると思う。
昔、私も小さな頃に夢か現実か区別の突かない不思議な記憶が幾つかあるが、それを呼び起こさせる匂いのする作品だと思う。
鬼とかカッパとか・・・果てはＵＦＯや宇宙人まで、空想の生物に興味のある私には興味が尽きない！

同じ父親を持つ異母兄妹が同じ高校で同じクラスになった事で、今まではお互いに接触を避けてきたが学校の恒例行事である「夜間歩行祭」にて二人の心は解き放たれてゆく。
無責任な父親の事やお互いの存在を恨むのではなく、何の罪もない二人は親友たちに助けられて徐々にわだかまりがとけてゆく。
若い青春物語。全長８０ｋｍを一昼夜かけて歩く修学旅行の代わりの全校行事。
歩いている最中は辛い事ばかりなのに、後から振り返ると一瞬の楽しい思い出だけが思い出せる。
「寛大な心」・・・で全てを初めから許すか・・・。

「人生は順番とタイミング」・・・
たしかに、出会った順番が違っていたら・・・と思える事もある。
人ど出逢ったタイミングと順番のよって今の自分のポジションは維持されている。
その中の一つでも違っていれば自分は別の場所にい居たかも知れない。。

 自分が高校生の頃はこの主人公達のように、こんなに物事を複雑には考えていなかったような気がする。
部活が辛いとか、勉強をしたくないとか、誰が好きで誰が嫌いとか・・・。
その時々で行当たりばったりの生活。先のことなんてまったく考えていなかった。
かけがえのない友人も作れず、それなりに友達も居て楽しく過ごしたが卒業してみれば段々疎遠になり・・・。 片意地を張らずにもっと寛大な心で自然にしていれば気持ちも楽であったのかも知れんね。

学生時代の男同士の寮生活での冬休みの居残り組みの話。
それぞれが暗い過去を持ちすぎな気もしたけど・・・。

学生時代に、友達と呑んでて何人かが潰れたり寝始めたりしてなんとか残った人達で片付けしながらの～んびりする話ってすきだったな～。
意外な事カミングアウトしたりして、寝ている人を起こさないように小さい声で話しながらまた少し呑み始めたりして。
家で飲み会すると潰れる人と面倒見る人っていっつも決まってて、おれはいつも残る方だったけど、その時間が一番スキだったな。
またそんな飲み会してぇな～。

「常野物語」の続編。
「裏返す」とは？その人の人格から能力に至るまでの全てを裏返しにしてしまい、以前の記憶を無くす事らしい。
今の自分と別のもう一人の自分。全く別の人格。どっちが「表」でどっちが「裏」か？偽っているのか、正直か？騙しているのか、騙されているのか？日々解らない。。
またしても異形の力。
いにしえの頃からの特殊な能力。千里眼や予知能力。その昔は、鬼やカッパは実在していたのではないか？と思える世界。子供にしか見えない世界。
自分も小さいときに何かを見たような、見なかったような・・・。

面白いと話題だったけど、ただダラダラと進行して行くだけで先の展開にも興味が湧かず、登場人物にコレと言って際立つ人も居なく、読みきるのに一週間も掛かってしまった！不覚！最後の方は正直辛かった。。
この作者はあまり肌に合わないのかも・・・。
国会中継オタクって笑える～。

不思議な力を持つ一族の物語。ミュータントでなくてむかしむかしからの異形の力。古来の日本には力を持った人も多かったそうな。よく空を飛んでいる夢を見る私は、潜在能力が眠っているのか？