- サウス・バウンド
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- 価格: ¥ 1,785
- 発売日: 2005/06/30
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- おすすめ度

元過激派の夫婦とその子供三人の家族。
第一部は、東京で長男の学校を中心とした話し。
年上の悪ガキのイジメに屈しないで立ち向かう長男。
居候の革共同の内ゲバで逮捕されたアキラおじさん。
何もしないで、家出ごろごろしている自称作家の父親。
そして第二部は、沖縄の西表島に移住して電気も無い所で自給自足をする。
一転逞しくなった父親。
地元のリゾートホテル開発に反対し、騒動を起こしパイパティローマへ夫婦で旅立つ。
面白いのは、元過激派の父親の一本気な姿。
堂々とした態度と「税金なら払わん!」とかっこよく言い放つあたりは、読んでいても正しい事のように思えてくる。
政府に反対と言うよりも、国などいらない!
権力者が虫より嫌いで、絶対に国の言う事は聞かない一個人。
人は元来、国や政治に管理され強制させらるものでは無く、自由な筈である。
選択は個人の自由にすべきである!
右翼や左翼、ゲリラや反政府などなど・・・政治の事にはあまり興味はなかったが、この物語の父親を見ていると、人間はもっと自由でいいんだなと思う。
欲があるから私腹を肥やそうとして悪い人間も出てくるし、社会に格差が生まれて競争や争いも出てくる。
この島の人たちは物を私腹としてないから欲もない。だから争いもうまれない。
人類はお金を持つ時代より、持たなかった時代のほうが遥かに長かったそうだ。
「おもしろい小説ここにあります」のキャッチコピーは伊達じゃなかった。
少年の視点からの父親像もミゴトで面白い。
奥田氏なだけに、第三部にも期待したいところだな。
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